県内での耳鼻科イベント

3月3日耳の日です。
山形県地方部会は毎年3月3日に耳の日の無料相談を開いています。

耳の日の無料相談

「耳の日」は、難聴者のために少しでも役に立ちたいとの願いを込めて、昭和31年より始められました。
近年、難聴の診断・治療には新しい手法が確立され国民の健康増進・福祉にも役立っていますが、最近増加の傾向が見られる耳の病気もあります。老齢化社会を迎え、老人性難聴の増加が見られる一方、幼少児の滲出性中耳炎の増加により、学校教育上にも問題が起こっています。

また、強烈な音量の音楽を聞く青少年の難聴も増加しています。成人では、めまいを繰り返し、難聴を来すメニエール病や、ある日突然に高度の難聴を来す突発性難聴などが見られます。
個人と社会をつなぐ窓である耳を大切にして戴くため、毎年「耳の日の無料相談」を実施致しています。

【主 催】
日本耳鼻咽喉科学会 山形県地方部会

【お問い合わせ先】
山形大学医学部耳鼻咽喉科 渡辺知緒
Tel. 023-628-5380

耳の日の無料相談について

病気というものは時代とともに変化していくものですが、耳の病気も時代とともに少しずつ変わってきているように思えます。そして今の時代を反映した病気が多くなっているようです。

日本の平均寿命は年々向上し、いまや世界でも長寿の国のひとつになっています。その長寿と耳は何か関連があるのか? 答えは ”あり” です。人間の体は歳をとるとともに老化していきます。これは現在の進歩した医学をもってしても、止めようもないことです。体の老化が進めば、体のいろいろなところにいわゆる老化現象というものが現われてきますが、耳にもこの老化現象がおこります。その中の代表的なものが老人性難聴です。これは耳の聞こえに関係する神経が、老化のために弱ってしまうことで起こるものですから、このために悪くなった聞こえを治療などで回復させることはできません。高齢化社会といわれる現在の日本では、このような老人性難聴をもっている人が、以前よりも多くなっていると考えられています。しかしこのような難聴を持ったお年寄りが、みな耳鼻咽喉科にかかって適切なアドバイスを受けているか、といえばたぶんそうではなく、逆に多くのお年寄りが医者にもかからずに困っているというのが現状でしょう。

ストレス社会という言葉が、以前から言われています。おそらく子供たちもふくめて、ストレスなく毎日を過ごしている人というのは少ないでしょう。人間にストレスがかかると、それが体のさまざまなところに異常として現われてきます。これはもしかすると体が発する危険信号なのかもしれません。耳の病気でもこのストレスに関連しているといわれるメニエール病というのがあります。これはぐるぐると回るようなめまいと、難聴や耳なりのような聞こえに関する症状をくりかえす病気です。原因は内耳の異常なのですが、この異常はストレスがきっかけとなって起こるといわれています。外来診療をしているとどうも最近このメニエール病と考えられる症状で、受診する人がおおくなっているような気がします。そしてこのような患者さんの多くが、症状の軽いうちは様子を見ていたと言います。

最近では、乳児や小児に対する検診がかなりきちんと行われており、この検診でいろいろな病気が発見されるようになっています。耳鼻科でも3歳児検診で聞こえの悪い子供を見つけ出そうとしています。しかし時々この3歳児検診で発見されない、あまりひどくはない難聴を持った子供がいます。このような子は、幼稚園や学校に入ってから ”言葉の発音が悪い” とか ”聞き返しが多い” などということで耳鼻科を受診し、初めて難聴があることがわかるなどということになります。このような場合でも、お父さんやお母さんは以前から何となくおかしいと思っていたということが多くあります。

現在では難聴を持った子供の教育は、0歳児から行えるようになっており、また小さいうちから教育を始めたほうが、教育の効果が大きいと考えられています。ですから難聴を持った子供の発見は早いほど良く、私たち耳鼻咽喉科医とすれば、少しでもおかしいと思ったらすぐに見せてほしいというのが正直な気持ちです。

「少しの症状や心配で医者にかかるのは、何となくおっくうだ」などという言葉を良く聞きます。確かに、病院に気軽に行くという気にははなかなかなれません。そこで日本耳鼻咽喉科学会では3月3日を『耳の日』として、毎年『耳に関する無用相談』を行ってきました。山形でも、日本耳鼻咽喉科学会山形県地方部会の主催で平成7年からこの無料相談を行っています。

ふだん何となくおかしいけれど様子を見ている、ちょっと心配だけれど医者にかかる程でもないかもしれないなどと思っている人でも、どうぞ気軽に相談に来てください。とにかく耳に関する相談ならどんなことでも受け付ける『無料相談』です。